本当は怖い壁の中!カビを寄せ付けない断熱材は?

本当は怖い壁の中!カビを寄せ付けない断熱材は?

高気密、高断熱な家造りに、いまや欠かせない断熱材。現在、日本の住宅の大部分で、この断熱材が温床となり、壁の中でカビが大繁殖している事実を知っていますか?部屋がじめじめしたり、どこからともなくカビ臭が漂ったりする頃には、時既に遅し。既にかなりのカビが発生しており、目に見えない大量の胞子が部屋の中を浮遊しています。カビはアレルギー喘息、肺炎、皮膚炎など、挙げていったらキリがないほどの病気や感染症の原因となります。せっかく建てる夢のマイホーム。壁内のカビ発生のメカニズムを知り、どういった対策が取れるのか、考えてみましょう。

カビを生むのは壁内結露

現代の日本の家の多くは、壁をめくるとカビで真っ黒になっている、といわれています。壁の中で発生するカビのそもそもの原因は結露。ではなぜ、壁内で結露が発生するのでしょうか。

結露とは冷やされた物体に暖かい空気が触れることで、その空気に含まれた水蒸気が水滴となって現れる現象。簡単にイメージするなら、コップに冷水をいれておくと、コップの外側に水滴が付く、あの現象です。人が呼吸をしたり、調理をしたり、暖房器具をつけたり・・・日常の生活をしているだけで、湿気は空気中に排出されていきます。この水分を含んだ空気が、壁内に入り込み、外気との温度差によって、壁内に結露が発生するのです。

一般にカビは、温室20~30度、湿度60~80%が最も繁殖に適した湿温度と言われています。結露が発生し、じめじめした暗い壁の中はまさに、カビにとって最適な状態になっています。

防湿気密シート+外壁通気層で挟み撃ち

温度差が結露を発生させ、結露がカビを繁殖させることがわかりました。ということは、昔のように、寒ければ寒いなり、暑ければ暑いなりの生活を送っていた頃は、結露やカビは発生しにくい環境だったということですね。でも、現代求められているのは、隙間風がなく、冬に暖かい、暖房費が抑えられるエコな家。これから家を建てるのに、断熱材をいれず、隙間風の入る家で、寒い冬を我慢するのは現実的ではありません。では、断熱材をカビから守るには、どのように対策をすればいいのでしょうか?

現在、住宅用断熱材として、最も普及しているのはグラスウールやロックウールという鉱物繊維系断熱材です。特にグラスウールに至っては、安価、かつ高い断熱性能が得られるということで、8割の住居に使用されており、あえて他の断熱材を使う必要がないほど、メジャーなものになっています。こういった断熱材が、隙間なくぎっしりと壁内に詰め込まれているわけですが、ここで問題なのは、グラスウールは湿気を貯め込む性質を持っているということ。つまり、一度湿気を含んでしまうと手放すことができないため、いつまでも乾かず、結露が常に発生しやすい状態になるのです。カビにとってはまさに天国で、大繁殖を続けます。さらに怖いのは、断熱材が含んでしまった水分の重さにより、壁の中で下にずれ落ちることもあります。こうなってしまうと、断熱材としては全く機能しません。夏は暑く、冬は寒い、暖房器具を使っても底冷えしてしまう家になってしまいます。

このような状態になることを防ぐために、抑えておきたいポイントは2つ。<br>1.断熱材より室内側に、防湿気密シートを使用すること。<br>2.断熱材の外側に、外壁通気層を設けること。

防湿気密シートは室内の高い湿度の空気が壁内に入るのを完全に防いでくれます。また、外壁通気層で通気をすることにより、湿気を外部へ排出する仕組みをつくることができます。両サイドから断熱材を挟み込み、湿気から守ることによって、湿気に弱いグラスウールを使用しても、結露はかなり防げます。

素材から考えるならウールブレス

それでも見えない壁の中、何が起こるかわかりません。施工中、狭いところに入れるときなど、やむなく防湿気密シートを切断することもあるでしょう。完璧に対策を施すことは難しいといえます。もし予算に余裕がある場合は、そもそも結露やカビが発生しにくい素材の断熱材、ウールブレスを選択肢に入れてみてはいかがでしょうか。

ウールブレスは自然素材からできた羊毛断熱材です。断熱効果や素材の安全性はもちろんのこと、グラスウールとの決定的な違いは、湿気を吸収・放出することができ、常に湿度を40~60%に保とうとする調湿性です。湿気と共存できる、呼吸する素材とも言われ、水害に対しても乾きが非常に早く、壁の中で形が崩れ、ずれ落ちるようなこともありません。このウールブレスを使用すれば、もちろん防湿シートの施工は不要です。

ウールブレスのデメリットは、その価格。通常、グラスウールの2~3倍のコストがかかるといわれます。ここで予算オーバーとあきらめず、ぜひチェックしたいのがリサイクルウール。ウールブレスには、バージンウールとリサイクルウールの2種類があります。リサイクルウールとは、カーペット工場などでカーペット製造時に出るウールをリサイクルしたもので、バージンウールに比べて、価格を2/3程度に抑えることが可能です。予算に限度があるけれど、ぜひウールブレスを使用したいという場合には、リサイクルウールを検討してみてはいかがでしょうか?また、ウールブレスの耐久性は1000年とも言われ、建替えやリフォーム時に再利用が可能であることも、考慮すべきポイントです。

家の壁や床一面に張り巡らされる断熱材。一度完成してしまったら、見ることも、掃除することもできない壁の中だからこそ、しっかりしたカビ対策をして、長く安心して住める健康住宅造りを目指したいものですね。

これから何十年も住むことになる家の「住環境」によって「家族の健康」も大きく影響を受けることは想像に難くありません。しかしながら、これまで健康と住宅を関連付けた「実証調査」はありませんでした。このたび、慶応義塾大学並びに首都大学東京の調査と、我々で行った独自の調査(調査期間:2014年から2015年)で実証された住宅を体感・観覧できます。一度ぜひお越しください。

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